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2015年7月 1日 (水)

【7月1日(水)の「安保法制」特別委員会の参考人質疑

【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第11号】
(2015年7月1日)  

<審議ダイジェスト>

【7月1日(水)の「安保法制」特別委員会 2回目の参考人質疑】

<参考人の意見陳述>

◆伊勢崎賢治(東京外国語大学大学院教授)
「日本のPKO5原則が前提とした国連PKOは、ルワンダ虐殺などを契機に、停戦監視から住民保護へと性格を変えた。重大な人権侵害に政府が何もしない、または加担する場合、国際社会は住民を保護する責任があるというもので、内政干渉とバッティングする。だから停戦が崩れても撤退しない。
日本のPKO5原則は根本的に変更すべきだ。今は旧宗主国は派遣をしぶり、周辺国が既得権の面もあって派遣している。日本に期待されるのは資金拠出に加えて、非武装の軍人が行うのを原則に信頼醸成などを行う国連軍事監視団への派遣だ」

◆伊勢崎賢治
「日本の「国家及び国家に準ずる主体でないから武力行使に当たらない」というのは、現代の国際人道法の運用には全く存在しない。英語に訳して発信しないでほしい。PKOには訴追免除特権があり、各国の軍法で裁くが日本には軍法会議がなく、現地の怒りを巻き起こし国際問題になる。自衛隊の作戦上の致命的な弱点だ」

◆伊勢崎賢治
「統合幕僚学校で教えてきたが、自衛隊員が国防以外に命を賭けるには大義が必要だ。何が起こっても国家が責任を負う法整備がなされていない。
1992年のカンボジアPKO以来、現場に送られた隊員が抱え込んできた矛盾だ。自衛隊の根本的地位を国民に問うことなしに海外に送ってはならない」

◆小川和久(静岡県立大学特任教授)
「保安隊が自衛隊へとドラスティックに変更されたことに比べれば、昨年7月の閣議決定は解釈改憲にはほとんど抵触しない。安倍政権は日本的議論を整理して日本の安全を確立しようとしており高く評価する。集団的自衛権の行使か、日米同盟を解消し独自の防衛力を整備するか、の選択肢しかなく、今のレベルの独自防衛には防衛大学の教授の3年前の試算で23兆円が必要とされる」

◆小川和久
「日米同盟は世界最高レベルの安全をもたらしており、費用対効果に優れている。「米国の属国」と言うのは日本人が悪い。米国から見て最も対等に近い唯一の同盟国は日本。日本列島という戦略的根拠地を提供し、米軍の本社機能が日本に置かれている。84ヶ所の米軍基地と日米共同使用施設が50ヶ所あり、喜望峰まで活動する米軍を支えている。だから米国は日米同盟の解消をずっと懸念してきた」

◆小川和久
「本社機能を持つ日本列島を攻撃しないで米国を攻撃するということはない。抑止力として日米同盟に勝るものはない。東シナ海でも中国は極めて抑制的に動いて気を遣っている。沖縄の海兵隊は抑止力でないと言うが、尖閣や台湾有事などで1000人が駆けつける。中国に米国と全面戦争するのをためらわせる抑止力になる。国連憲章、集団的自衛権、戦力投射能力なき自衛隊という3点が全て歯止めになる。日本でしか通用しない議論で自衛隊や警察、海上保安庁を出さないでほしい。向き合う相手はフリーハンドなのだから」

◆折木良一(第三代統合幕僚長)
「憲法の範囲内での法制化は極めて意義がある。日頃から訓練、準備ができるのは隊員や家族にとって重要だ。局地戦争、宇宙、サイバーなどの様々な脅威があり、東アジアは特に不安定さが強い。安倍総理の「もはや一国のみで自国の安全は守れない」という発言に全く同感だ」

◆折木良一
「日本はPKOで30ヵ国に約5.3万人を海外派遣してきた。しかし、他国との調整で「我々はできない。自分からは撃てない。治安活動はできない」と言わざるを得なかった。内心どう思われているか。17年間ゴラン高原PKOに参加したが、襲われても他国を支援できず、人道上の対応が不可能だった。それが可能になることは国際的にも大きな前進だ」

◆折木良一
「今後の重要な課題の一つは、部隊行動基準(ROE)の抜本的見直しと訓練だ。第一線の指揮官にとって運用しやすいネガティブリスト基準にすべきだ。二つ目は武力攻撃に至らないグレーゾーン段階の対処。運用手続きや実施要領を細部まで詰めてほしい。まず海上保安庁や警察、それが無理なら自衛隊の海上警備行動、さらに防衛出動という移行の判断をしっかりして、切れ目なく運用できるようにしてほしい」

◆鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
「エジプトでの安倍首相の「2億ドル供与」発言もあり後藤さんたちが殺害された。将来自衛隊が米軍の友軍として後方支援で派遣されれば、敵と認識される可能性がある。イラク戦争後、マドリードとロンドンで報復テロが起きた。日本が集団的自衛権を行使すれば、セキュリティがないに等しい新幹線などが標的になる可能性がある」

◆鳥越俊太郎
「自民党の文化芸術懇話会での発言は、憲法21条の集会、結社、言論の自由を保障した憲法21条に真っ向から反するもので、大変危機感を覚えた。
間接民主主義の中で、税金の使い道をチェックする機能をメディアに与えている。メディアにはそうした使命があることを理解して審議をしてほしい」

◆柳澤協二(国際地政学研究所理事長)
「「存立危機事態」とはどういう事か、認識が収れんしたとの感覚はない。我が国が攻撃受ければ自衛するのは国民、自衛隊、政治の合意点があったが、他国への武力攻撃が発生し我が国の存立が脅かされるかどうかというのは、一種の価値判断の問題となり、なかなか詰まりきらない」

◆柳澤協二
「隊員の安全確保は非常に重要だ。かつてバグダッド以北にC130輸送機を飛ばす際には、航空幕僚監部に依頼して脅威の具体的な見積もりをした。
新たな任務のリスク分析を認識したうえで議論してほしい。各国はPKOで戦死者を出しているが、せめてそういう事例を検討すべき。とても安全確保できるとは思えない」

◆柳澤協二
「海外での自衛隊の武器使用についての主語は「自衛官は」だが、防衛出動の主語は「自衛隊は」となっている。自衛隊員の法的ケアも立法府として考えるべきだ。法整備により逆に緊張を高める面もあるのではないか。優先順位と資源配分を考えるべきだ」

<参考人に対する質疑>

◆原田義昭(自民)
「抑止力の重要性について改めて述べてほしい」

折木良一「かつて南シナ海には米軍がフィリピンに、ソ連軍がカムラン湾
に配備されていた。力の空白を作らない事が大切だ」

鳥越俊太郎「米国が次に共和党の大統領になったら、「イスラム国」壊滅に地上軍を派遣するかもしれない。その時、自衛隊が全く無関係かどうかは曖昧なままだ」

◆大串博志(民主)
「報道の自由は大切。今回起こっているようなマスコミへの圧力は過去に
あったか?」

鳥越俊太郎「戦前に治安維持法下であった。ただ、安倍政権になってメディアに神経質になったと感じる。NHKの「従軍慰安婦」問題で安倍さんらが介入して一部変更されたり、NEWS23の街頭インタビューを気に食わぬとブチ切れたり、NHKとテレビ朝日が事情聴取されたりしている」

◆大串博志(民主)
「今起こっている安保環境の変化とは?」

柳澤協二「政策立案の面で見て何が一番大きな要素かといえば、アメリカの軍事力行使の意思があやふやになっていること。中国と米国が本気で戦争するのか、わかりにくい。国益が曖昧に対立し、だぶっている。この点が狭間にある日本が置かれている一番の不透明感の源にある。そこをどう舵取りしていくかが問われている」

◆谷畑孝(維新)
「最近の日経の世論調査でも、6割近くが反対、憲法違反も過半数、説明が不十分も8割を超えている。今まで一ヶ月68時間も審議してきたのに、やればやるほど法案への支持率が下がっている。憲法学者や元内閣法制局長官も「憲法違反」と発言した。国民は「なぜ急ぐのか?」と感じている」

◆宮本徹(共産)
「法改正により自衛隊員が殺してしまう、あるいは殺される可能性は?」

伊勢崎賢治「今まで無事故で済んだのは隊員の工夫と薄氷を踏む対応の結果であり、奇跡だ。今回の法制で任務は拡大し、奇跡ですむ可能性は非常に薄くなる。法的枠組みを考えておかないと事故は起こる」

◆宮本徹(共産)
「ファクトでなく価値判断の問題になる、とはどういう事か?」

柳澤協二「存立危機事態は一義的に定義できない。どの「例えば」をとっても、存立が脅かされるとは思えない。近場の例は個別的自衛権との区別がつかない。「存立危機」との概念を使う事自体に無理がある」

◆宮本徹(共産)
「戦闘作戦行動のために発進準備中の米軍機への給油は米軍指揮下でやる
のか?」

柳澤協二「給油はメンテナンスも行うことになり、飛んでいってもしミサイルが出なかったら大変なことだ。整備小隊とセットで動く。通常はニーズがないと思う。武力行使との一体化が避けられるとはとても言えない」

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【午後の一般質疑】

◆笹川博義(自民)
「自衛隊の制服組の国会答弁は昭和30年代にはあった。以降は背広組がカバーしてきた。任務が拡大した時、やはり現場の声を聞きたいのは当然だ。場合と事柄によっては各幕僚長に来てもらうべきだ。この点問題は生じま
せんね?」

中谷大臣「各幕僚長には防衛大臣を専門的見地から補佐させ、管理運営に専念させたい。国会答弁や意見陳述については国会が判断されるべきだ」

◆濱地雅一(公明)
「ちまたに「特定秘密で情報が出てこない」との批判がある。「対処基本方針」に記載する前提となる情報と特定秘密との関係は?」

中谷「特定秘密も含まれる可能性があるが、特定秘密にかからない形で事態認定の根拠を示したい。適切に情報公開してご理解いただく」

◆濱地雅一(公明)
「国際平和支援法で基本計画を変更する場合、報告だけで足りるのか、再度国会承認を求めるのか?」

中谷「対応措置を実施する国の追加や別の活動の追加の場合は、改めて国会承認を求める。協力支援活動の新たな業務の追加や派遣期間、区域の変更や装備内容などの変更は国会承認は求めない。ただし、国会で決議があれば当該事項について承認を求めることになる」

◆辻元清美(民主)
「武力攻撃事態法の第3条に報道機関などへの協力要請の項目がある。その148の「指定公共団体」にNHKや民放も入っている。存立危機事態でどういう協力要請をするのか?」

中谷「国民にお知らせすべき事態で、各社にご協力いただく」
辻元「報道規制はないという担保はどこにあるか?」
中谷「協力を求めるとあるのは義務でも強制でもない」
辻元「しかし、「措置が講じられなければならない」とある。大事な点なので政府見解を出してほしい」

◆辻元清美(民主)
「どこでどういう経験があったから今回「非戦闘地域」を外すのか?」

中谷「旧テロ特措法とイラク特措法。活動地域を柔軟に決められ円滑に活
動できるように」

辻元「イラク特措法は「人道復興支援」で「安全確保支援活動」として、後方支援=ロジスティクスは行わないとしていた。インド洋でも「協力支援」「捜索救助」としていた。戦争の一貫としての後方支援ではなかった。やったことがないのに非戦闘地域を外そうとしている」

◆辻元清美(民主)
「ジブチの自衛隊基地や後方支援の拠点がミサイル攻撃されたら、日本への武力攻撃になり、一足飛びに個別的自衛権の発動になるのか?」

中谷「基本的に他国領土への攻撃だが、我が国への組織的、計画的な攻撃かどうかで判断する」(速記止まる)

辻元「大事なところ、整理して答えて」

中谷「類型的にお答えするのは困難。他国では基本的に武力行使しないのが前提で活動を中断する」(速記止まる)
「自衛隊の保護は施政権を持つ当該国があたるべきで、自衛権の発動は許されない」

◆辻元清美(民主)
「そうした時に自衛隊員が拘束されたら、ジュネーブ条約上の捕虜として
扱われるのか?」

岸田外相「後方支援は武力行使に当たらない範囲で行う。非紛争当事国として活動する場合、ジュネーブ諸条約上の捕虜となることは想定されない」

辻元「それは机上の空論。単なる民間人の人質と同じなのか。他国の軍人は条約上の捕虜になる。自衛隊員の身を危険にさらすものだ。後方支援は戦争の一貫であり、自衛隊だけ違うというのは通用しない」

◆伊東信久(維新)
「昨日まで68時間18分議論したが、国民の理解は深まらない」

中谷「伊東委員は見識が高い。安全保障は超党派。維新の提案に敬意を表する」

伊東「自民党の『ほのぼの一家の憲法改正ってなーに?』というマンガはなかなかわかりやすい。20年ほど前の『加治隆介の議』5巻にも集団的自衛権が書かれていた」

◆本村伸子(共産)
「C130輸送機が武装米兵をイラク現地に運び戦争に加担した。同じ過ちは繰り返させない。空中給油機は小牧基地にしか配備されていない。重要影響事態や国際平和共同対処事態、存立危機事態などで空中給油できるか?」

中谷「可能だが、個別具体的に判断する」

本村「燃料がないと飛ぶ事も攻撃する事も出来ないのに、なぜ武力行使と一体でないのか?」

中谷「補給や整備で戦闘と異質、現に戦闘行為を行っていない、などの4要件を踏まえて判断した」

本村「給油せず爆撃に行けるか?」

中谷「その通りです」

本村「答弁のすり替えはやめるべきだ」

◆本村伸子(共産)
「日本を攻撃しようとするA国の戦闘機にB国が給油した場合、A国とB国は一体か?」

岸田「一体化の議論は憲法上の要請だ。我が国固有の概念であり、国際的な概念ではない。A国、B国とあげて国際社会に当てはめるのは困難だ」

本村「まじめな議論をしていない。1999年の佐藤防衛局長の答弁に「発進準備中の給油オペレーションは専門的で秘密も要するため、整備員がクルーと一体となり行う」とある。米軍と一体で行うのではないか?」

中谷「他国軍に組み込まれることなく主体的に運用は可能」

本村「より多くの爆撃のために空中給油は有効だ。戦闘能力強化のための給油が武力行使と一体化でないと、違憲でないと言えるのか?!」

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