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2015年5月13日 (水)

自衛隊員と家族は、いま

対テロ戦争・戦争立法の中で自衛隊員と家族は、いま。

2015年5月11日
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20150511.html
「法学館憲法研究所」より抜粋

佐藤博文さん(弁護士・「自衛官の人権弁護団・北海道」団長)

隊員に「遺書」を書かせ、部隊で保管

 2015年1月末、私は、陸自北部方面隊(札幌市)の道東の基地に所属するある自衛隊員から、「苦情処理通知書」を見せられ、驚いた。「殺す・殺される」軍隊として、遂にここまで来たのか、と。

 陸自北部方面隊は、2010年より、部隊の隊員に対する「服務指導」として、「家族への手紙」という名の遺書を書かせ、それを部隊が管理した。彼の場合は、隊舎内のロッカ-への保管を命じられていた。
 ずっと疑問を抱いていた彼は、昨年末に部隊から取り戻し、今年1月初め、遺書を書かせた根拠を尋ねた。その回答が今回の通知書だった。

 そこには、遺書を書かせる意義を、「物心両面の準備をより具体化したものであり(略)長期の任務に急きょ就くことに備え(略)あらかじめ本人の意思を整理しておくことにより、個人の即応性を向上指させるもの」であり、「単に自己の死亡のみに準備する遺書とは全く別物」であると説明されていた。
 
 遺書の目的は、"殉死(戦死)"への覚悟である。2010年夏、北部方面総監・千葉徳次郎陸将は、遺書を書くことは「命を賭す職務に就く軍人としての矜恃である」と訓示している。国家のために死ねという。
かせる"ことにほかならない。

7月1日閣議決定と自衛隊員・家族の不安

 昨年7月1日の閣議決定に対して、自衛隊員や家族の多くが不安と困惑、憤りを隠さない。自衛隊員は、米軍と一体となった戦争遂行準備、泥沼の「対テロ戦争」の戦場派遣という、深刻な問題に直面している。戦争も軍隊も知らない政治家たちがリアリティのない議論をし、簡単に「専守防衛」を投げ捨て、「兵士の人権」を顧慮しないことに、深刻な危機感を抱いている。


自衛隊の海外派兵・国防軍化と自衛隊員の人権は表裏一体


 特に、自衛隊員の自殺は深刻である。
 イラク派兵中、在職中の自殺者は毎年約100名に上っていた。自殺する前に退職するケ-スが多いから、「暗数」は数倍にも上るだろう。
 
 自衛隊員の自殺者のうち、アフガニスタンからイラク戦争への派兵経験者に限った統計では、第1次テロ特措法(インド洋派兵)では海自8人(延べ派兵数1362人に1人)、第2次では海自4名(同600人に1名)、イラク戦争では陸自20名(同280人に1人)、空自8名(同453人に1人)、総計40名になる。ちなみに、日本国民の自殺者は4672人に1名(2013年度)で、イラク戦争派遣の陸自隊員の自殺率は国民平均の17倍ということになる。
 
 自衛隊は直接戦闘行為に関与していないが、これが実際に行なうようになったらどうなるか。
 
軍隊の本質-人権保障と根本的に矛盾
 
 自衛隊員は、日常生活の全てにおいて、「おう盛な闘争心をもって敵を殺傷又は捕獲する戦闘」(真駒内徒手格闘訓練死事件判決)に備えなければならず、そのため組織=上司・先輩の命令は絶対である。
 
 自衛隊の規律は、「軍紀」と言われ、その本質は、「通常の道徳規範」とは正反対の一般社会では絶対に許されない器物の損壊、人員の殺傷などの戦争遂行行為を、自他の生命を省みることなく公然と行なわせるものである。これに従わなければ軍紀違反となり、戦前には「逃亡」は死刑をもって処せられた。


<法学館憲法研究所事務局から>
当サイトではこれまで、自衛隊をめぐる諸問題についても様々な情報を発信してきました。こちらもご覧ください。


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