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2015年3月 8日 (日)

グレンデール市の慰安婦像裁判

グレンデール市の慰安婦像裁判は、なぜ原告のボロ負けに終わったのか 小山エミ / 社会哲学

【SYNODOS】2015.03.08「以下抜粋」

http://synodos.jp/international/13150

米国カリフォルニア州グレンデール市が市立図書館横の公園に設置した日本軍「慰安婦」被害者の像が、州憲法や州法に違反するとして在米日本人数名とその団体(GAHT)が訴えていた裁判で、ロスアンゼルス先週一審判決が下された。結果は、昨年一審判決があった連邦裁判所における訴訟と同じく、原告の訴えを棄却する内容。

昨年11月末にはじまった裁判がこれほど早く決着したのは、被告グレンデール市の請求にこたえ、裁判所が今回の訴訟をSLAPP(strategic lawsuit against public participation 直訳すると「市民参加を妨害するための戦略的訴訟」)と認定したからだ。

原告の主張は4つに分かれる。第一に、「慰安婦」像の設置は連邦政府の外交権限を侵害しており、連邦憲法に違反している、というもの。第二に、プレートの文面を市議会で審議しなかったことが、議事ルールに違反している、というもの。第三と第四は、それぞれ州法と州憲法の違反を訴えるもので、像の設置によって日本人や日系人の平等権が侵害されたというものだ。

この時点では原告はこれらの主張を証明する必要はなく、ただそれらの主張に、原告の証拠が全面的に採用された場合、原告が勝訴する可能性がある、と判断されればそれでいい。

第一の論点。これは昨年判決が出た連邦裁判でも退けられた主張だが、州裁判所も連邦裁判所の意見に同調した。連邦憲法によって、外交権限は一元的に連邦政府のみに属することが規定されているが、自治体が国際的な問題について意見表明をすることは禁じられておらず、それどころか各地の自治体で意見を表明する決議――たとえば反戦だったり、テロや戦争犯罪の加害者を非難し犠牲者を追悼する決議など――が毎年たくさん生まれている。議会がそれらの決議を可決することと、像を設置することに法律上の違いはない。

また、原告は「慰安婦」像の設置が連邦政府の外交政策と齟齬を生んでいる、と主張するが、そのような齟齬があるようには見えない、と裁判所は結論した。プレートには「このような人権侵害が今後起こらないよう願う」と書かれており、またその他の文面も米国連邦下院における「慰安婦」決議を元としているが、それがどのように連邦政府の外交政策と衝突しているのか、原告はきちんと示していない。

もし原告の訴えが認められれば、各地の自治体によるさまざまな決議が違憲となるばかりか、ホロコースト記念碑などほかの歴史的悲劇に関連した施設も違法となりかねず、それは「連邦主義と民主主義と根本的な原理に反するものだ」と裁判所は断じた。

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