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2014年10月23日 (木)

福島原発の現状

(人民新聞 6月5日号 No.1517 より)
小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)インタビュー(2)

◇原発の現状

 事故原発について最大の課題は、熔け落ちた核燃料をどうやって取り出すか、です。メルトダウンした核燃料がどこにどんな状態であるか、もわからないまま、とにかく冷やすために、3年以上水をかけ続けています。当然の結果として、汚染水が増え続け、東電は、タンクに貯めようとしています。

 でも、敷地全体が猛烈な汚染環境なので、時間と手間をかけてしっかりしたタンクを作る余裕がないのです。現場労働者の被曝線量が蓄積されるので、鋼板をもってきて、パッキンを挟んでボルトで締めるという簡易型タンクを、短時間で作業し終えるしかないのです。タンクへの配管作業もできないので、ホースでつなぐという現状です。
 結果、汚染水が漏れ出るという事故が容易に発生するのです。原発敷地面積は限られているので、タンクの増設もいずれ行き詰まります。近い将来、タンクに貯めた汚染水を海に流さざるを得なくなるでしょう。
 さらに言えば、原発建屋・縦坑・トレンチ・ピットという構造物は、全てコンクリート製なので、地震による破損箇所から、汚染水が日常的に流れ出ているはずです。毎日600トンの地下水が原発敷地の地下を流れているので、これが汚染水と混ざって海に流れ出ています。

 どうすればいいのか?ですが、もう、水による冷却を諦めるべき時期だと思います。そもそも使用済核燃料は、ガラス固化体にして、地下300メートルの固い岩盤を掘って保管するという計画を進めてきました。使用済核燃料は、「地下水と接触させない」ことが最も肝心な条件だからです。

 緊急事態で他に方法がなかったとはいえ、水による冷却は、やってはいけないことを意図的にやり続けているのです。3年も経ったのですから、崩壊熱は随分減っていますし、別な方法を模索すべきです。
 私は、1年ほど前から(1)金属による冷却、(2)液体窒素を使う冷却、(3)空冷方式などを提案してきました。水による冷却は、遠からず破綻します。別の冷却方法を大急ぎで模索すべきです。

◇4号機の使用済核燃料の取り出し

 メルトダウンした1~3号機から大気中に吹き出したセシウム137は、日本政府発表では、広島原爆168発分だとされています。ところが、4号機の使用済核燃料プールの中には、広島原爆に換算すれば約14000発分のセシウム137が保管されているのです。これが環境中に放出されれば、日本はおろか北半球全体が深刻な汚染を免れません。

 4号機の原発建屋は、水素爆発で最上階は吹き飛び、核燃料プールが埋め込まれている階の壁が壊れてしまい、燃料プールは宙吊りのような状態でかろうじて建っているのです。少しでも危険性の少ない場所に移動させることは、何としてもやり遂げねばならない重要作業です。
 ただし、建屋の爆発で燃料を移動させるための交換機、キャスクを吊り上げるためのクレーンも全て破壊され、使用できなくなりました。このため東京電力は、リスクを承知で建屋最上階を完全に撤去し、新たに巨大な建屋を建設してクレーンを設置し、燃料交換機を取り付けて、昨年11月にようやく取り出し作業を始めました。

 今後、キャスクを釣り落としたり、燃料棒が引っ掛かって抜けなくなったりというさまざまなリスクはありますし、労働者の被曝も伴うのですが、一刻も早くやり遂げねばならない絶対必要作業です。私は東電が大嫌いですが、この件に関して東電は、よくやっていると評価できますし、エールを送りたいとも思います。

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