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2014年4月23日 (水)

残業代ゼロ法案」の亡霊

アベちゃんが冥界から呼び戻す「残業代ゼロ法案」の亡霊

http://nabeteru.seesaa.net/article/395349775.html
「ナベテル業務日誌」より抜粋


2 もう一度残業代の基礎をおさらい

 我が日本国は、労働基準法により、労働者の労働時間を週40時間、一日8時間に限定している。意外と知られていないが、これを超えて働かせるのは刑罰が定められた犯罪である。

 これを超えて労働者を働かせることができるのは、災害など臨時の必要がある場合か、職場で残業時間の上限を定めた適法な三六協定(さぶろく協定。労基法36条で定められているのでそう言う。)を定めたなど限定された場合であり、これも意外と知られていないが、政府の基準では月あたりの法廷時間外労働の上限時間は45時間である(リンク先はPDFなので注意。「時間外労働の限度に関する基準」。ただし強制力がないので実際は長時間残業が野放しになっている)。

 そして、あまり語られない残業代の最大の特徴は、月給制だろうとなんだろうと、法所定の計算により1時間当たりの時給単価(基礎時給)を割り出し、基礎時給に割増率を掛けた金額との関係で法定外残業時間に正比例して支払われるということである。しかも、基礎時給計算から除外される賃金も厳しく制限されている。

 基礎時給の計算方法については、以前、ワタミの賃金を例にとって解説したことがあるので、興味がある人はそちらをご覧頂きたい。→「離職率は高くないというワタミの新卒賃金を考える」
 残業代の未払ももちろん犯罪であり、労働者が訴訟を提起した場合は、裁判所は使用者に懲罰的な付加金を命じることができる。労基法の付加金制度は日本の法制度の中では裁判所が民事的な制裁金を科せる珍しい制度である。
 このように、使用者が脱法できないように何重にも規制がかけられているのが法定外残業、深夜早朝労働、法定休日労働なのであり、それでもサービス残業が横行しているのが今の日本の現状なのである。

 今でも、「管理監督者制度」という法定時間外割増賃金を払わなくてよい制度があるが、適用要件は非常に厳しい。このブログを読んでいるほとんどの人には適用できないと思って差し支えない。感覚的には「マクドの店長くらいでは適用されない」と覚えておけば良いだろう。企業の中間管理職になった途端、残業代がつかなくなり、手取りが減る話はよく聞くが、ほとんどの事例で違法だと思って良い。

 また、「裁量労働制」という制度もあるが、この制度も適用要件が非常に厳しい上、あくまで労働時間を「みなす」制度であり、みなされる労働時間が法定労働時間を超える場合は、当然、残業代が支払われる。この制度も脱法的運用が疑われており、疑念がある人は、一度、日本労働弁護団の弁護士に相談した方が良いだろう。

3 一度は葬られた「残業代ゼロ法案」

 このように、払わなければならない残業代を払ってこなかったのが日本の経営者たちであり、その総本山が日本経団連である。日本経団連はそれでも飽き足らず、2005年に「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を発表して以降、場合によっては年収400万円以上の労働者について適用される残業代ゼロ法案を強力に推進し、第一次安倍政権のときに、ついに法案化まで漕ぎ着けた。彼らの王道楽土(労働者の地獄)が訪れようとしていた・・・(このあたりの経緯は手前味噌ながら『POSSE』22号の拙稿がフォローしている)。

 この残業代ゼロ法案の凄まじさは、労働時間を「みなす」制度すら放棄し、一定以上の年収がある労働者について、賃金と労働時間(残業時間)の対応関係を完全に切り離そうとする点にあった。この法案が「残業代ゼロ法案」であることはもちろんだが、「過労死促進法案」の異名があったのは周知の事実である。
 この法案は、首相・アベちゃんの下で法案化され、国会提出直前まで行ったが、国民世論の激しい反発に遭い、結局、国会で審議すらできずに葬られ「成仏」した。

5 まとめ

 ところで、アベちゃんも、賃金が上がらないと景気回復しないって、言ってなかったっけ?アベちゃんは、賃金を切り下げ、労働時間を増やすような法律作って、景気が回復すると本気で思っているのだろうか。こういう矛盾することを、政府にごり押しして自分たちだけ儲けようとするのが、今の財界中枢であり、日本経団連である。しかも、前回で懲りず、むしろ、適用される労働者を大幅に拡大しようとしているようである。最大限の批判を加えて、労働者派遣法改悪案に加え、残業代ゼロ法案をもう一度「成仏」させ、選挙でも自民党にお灸を据え、二度と甦らないようにする必要があると思う次第。

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