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2014年3月10日 (月)

ウクライナ/田中宇

田中宇の国際ニュース解説

無料版 2014年3月9日 http://tanakanews.com/


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★プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動
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この記事は「危うい米国のウクライナ地政学火遊び」(田中宇プラス)の続きです。
http://tanakanews.com/140305ukraine.php

 EUの上層部で、ウクライナ新政権に対する懐疑の念が強まっている。2月22日の政権転覆によってできたウクライナ新政権は、前回の記事に書いたように、ネオナチ・極右の指導者が安保、軍事、警察、教育などの政策決定権を握っている。政権転覆の直前、極右を含む反露の反政府勢力が、親露的なヤヌコビッチ政権を倒そうと、首都キエフ中心街の広場などに集まって反政府集会を続けていた時、何者かがビルの上から集会参加者や警察官を狙撃して、多数の死者が出た。この時、反政府勢力は、ヤヌコビッチ配下の兵士が狙撃犯だと非難する一方、ヤヌコビッチ政権は、反政府勢力の者が狙撃犯だと反撃した。
米欧マスコミの中には、ヤヌコビッチ政権による弾圧を大々的に報じ、狙撃もその一環であるかのような印象が醸し出された。しかし政権転覆後の今になって、狙撃が反政府勢力、つまり新政権の自作自演だった可能性が高まっている。

http://edition.cnn.com/2014/03/05/world/europe/ukraine-leaked-audio-recording/
Leaked call raises questions about who was behind sniper attacks in Ukraine

 政権転覆直後、EU加盟国であるエストニアのパエト外相がキエフを緊急訪問し、知ったことや印象について2月26日にEUのアシュトン外相と電話会談した。その電話を録音した内容が最近、インターネットのユーチューブに漏洩した。この中でパエト外相は、問題の狙撃について、政権転覆前に反政府勢力(つまり新政権)が負傷者や急病人のために中心街の広場に作った野戦病院(テント)の主任医師から聞いた話として、状況証拠から見て、ヤヌコビッチ前政権でなく、新政権が狙撃犯を雇っていた可能性が高いと話している。電話の相方であるEUのアシュトンは、初耳だと答えた。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZEgJ0oo3OA8
Full leaked recording

 パエトは、新政権が狙撃事件の真相について捜査したがっていないとも指摘した。新政権を率いる極右指導者は過去に暗い過去があるので多くのウクライナ人が彼らを信用していない、とも語っている。エストニア外務省は、漏洩した録音が本物であることを認めつつ、パエトはキエフで聞いてきたことをアシュトンに報告しただけでウクライナ新政権を批判するつもりはない、と苦しい釈明をした。実際には、アシュトンがパエトにキエフ訪問の印象を尋ね、その答えとしてパエトが新政権に関する悪評を並べており、漏洩後の釈明と裏腹に、パエト自身が新政権に対して悪い印象を持っていることが明白だ。

 

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