キューバ紀行 その9
キューバ紀行 ⑨
【 キューバの野球 】 下司孝之
大昔、長嶋が現役の頃「共産圏には野球がないからつまらない」というふうなことを言っていたことがある。
勿論、キューバ野球のことは知らなかったのだろう。王とは違って政治的にはよく分かっておられない方のようだから。
キューバ人案内人のAさんが団体バスの中で
「日本とキューバは仲がいいのですが、一つだけ敵対していることがあります。今年は北京オリンピックですが日本野球はキューバにとって強敵です」
と英語でいう。
「日本の仕上げがうまくないんだ」
と団員。
Aさんは、チッチッチと指を立ててふり
「いやー、そうではないんじゃないですか。日本は手ごわい」
と、いれ込んでいる。
北朝鮮ではこんな会話には到底ならない。
日本が直接に侵略した『日帝支配36年』はまだ63年前に過ぎないからだ。
名前を日本式に強制的に変えさせたり、統治能力がないからと国を召し上げてしまう乱暴は野蛮のきわみだ。
キューバ旅行はそういう意味では気が楽だった。
それでも北朝鮮に7年前に訪問したとき、サッカーで
「日本がアメリカと対戦するとしたらどちらを応援するか」
という問いに
「アジアのよしみで日本を応援する」
と、よいしょをしてくれた。
北朝鮮では野球はまだ発達をしていないから、野球の会話は出来ないが中国に野球を教えると瞬く間に強くなったのだから、そのうち「キューバ-北朝鮮」戦なんて組み合わせが出来るのかもしれない。
残念したのは、キューバでその野球を見れなかった、偵察できなかったことだ。
なんだか愛国的になってしまうが、強豪キューバに勝てばかなり気分がいい。
まぐまぐ「キューバのベースボールを知りたい人」
http://archive.mag2.com/0000138731/index.html
ハバナ郊外に、カストロが野球をしている写真が入った野立て看板があった。
スローガンもあったが、バットを振る場面をとらえて、爽やかな感じに仕上げていた。
総じて、キューバではカストロやゲバラの写真は見かけない。ゲバラは今でも人気が有り、観光客も競って買っていくから土産物屋にもグッズは多い。食事のときにも手に持って売りに来るのはゲバラのシャツだった。
野外でのフィデル(カストロ)の看板はこれだけだった。
よく見られたのはスペインからのキューバ独立運動の革命家ホセ・マルテイの像の方だった。
旅行はカストロが国家元首に当たる国家評議会議長職を引退する意思を表明する直前だったからフィデルのキューバ最後の訪問団となったようだ。
車の中から草野球の小さな野球場は見たが、野球には遭遇できなかった旅だった。
勿論キューバ野球は健在の様子で5万人以上が入る『ラテンアメリカ・スタジアム』ではアメリカ同様の盛り上がりが見られるようだ。
一昨年には、ここでアメリカ-台湾の決勝戦・キューバ-日本の準決勝戦という面白い取り合わせの野球が見られた。
映画王国キューバの映画館で観客と一体感を求めたかったし、野球場でも気分に浸りたかったのだが、また次の機会を楽しみにするほかない。
| 固定リンク


コメント