キューバ紀行 その2 下司孝之
キューバ紀行 ②
トロピカーナ
トロピカーナはキューバを代表するナイトクラブです。ラスベガスの本家だといえばとおりが早いと思います。
前から見たかったので大一枚をはたきました。
黒服が出迎えて男性には葉巻を、女性には赤いカーネーションを渡してくれます。
10時、男女の司会者が客席を縫い、口上を述べながら屋外の舞台に上がり、ショータイムです。
体操とダンスを2時間ほど繰り広げるサーカスのようなものですが、私は大方寝ていました。
むしろ精神病院やデイ・サービス施設での、歌の歓迎の方が感動的でした。同じラテンでもゆっくりとリズムをとって、誰でも歌える優しい歌なのです。
クラブでは道徳的な意味ではなく、期待が大きかっただけに自分の感性に合わずの居眠りでした。
揺り動かして起こしてくれようとした人には「イヤー、気絶してしまった」と言い訳をしたのですが、これなら土佐のヨサコイ祭りのほうがはるかに上手いとおもったものです。
実際、北海道や原宿など全国に飛び火した「ヨサコイ鳴子踊り」は、戦後に武政英策が創り上げてから今年で半世紀をエネルギッシュに展開しています。土佐の民族性と鳴子を持てば後はどんなに踊ってもいいという踊りの開放性がどんどんヨサコイを進化をさせて飽きないのです。最近は和風に仕立て上げ物語性を持たす工夫も見られます。
連の中にはかなりの見ごたえのあるものもあって、八月、踊りの三日間には追っかけもします。
トロピカーナの場合、ショービジネスですからどうしてもアメリカの速い展開の先取りに遅れをとりがちで、この世界は難しく思いました。アメリカのショービジネスは世界各地の素材を料理して洗練した商品に仕立て上げるのは上手いものですが、その分、アピール性や民族が持っている固有の物語性を喪失させます。
ましてや革命性など、なんでもむしゃむしゃ食べる商業資本にとって美味しい餌としか映りません。
顔を上げるともうフィナーレ、蟹の横ばいのように美男美女がゆっさゆっさと舞台の奥に引っ込んでいくところでした。
注記:大一枚はキューバの人の、月収の約2.5倍
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