玄海原発・プルサーマル起動 「切り札」難問山積
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ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使う国内初の「プルサーマル発電」の試運転が5日、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で始まった。週明けには発電が始まる見通しだ。政府や電力業界はプルサーマルを地球温暖化対策の一環として原発を推進する「切り札」と位置付けるが、燃料の破損など安全性への懸念や「後始末」の課題も残る。相次ぐトラブルでほころびの目立つ「核燃料サイクル」は立て直せるのか。先行きは不透明だ。【山田大輔、関谷俊介、柳原美砂子】
◇「温暖化対策」安全性懸念も
プルサーマル起動を受け、経済産業省の近藤洋介政務官は5日、記者団に「日本の原子力の発展、エネルギーの安定供給にとって意義ある大きな一歩だ」と述べた。資源小国・日本が原子力政策の根幹にすえてきた「核燃料サイクル」は大きな節目を迎えた。
国内の温室効果ガス排出量は増加傾向が続き、07年度は90年度に比べ9%増えた。20年の温室効果ガス排出量を90年比で25%削減する目標を掲げる民主党は、発電時にほとんど二酸化炭素(CO2)を出さない原子力発電を温暖化対策の切り札と位置づけている。
直嶋正行経産相は10月2日、九電が提出した川内(せんだい)原発3号機(鹿児島県薩摩川内市)増設計画に伴う環境影響評価準備書に対し、CO2排出抑制のため、原発の最大限の活用を図ることを盛り込んだ勧告を出した。温暖化対策への活用が盛り込まれたのは初めて。新政権の原発推進姿勢を鮮明に表したものだった。とはいえ、鳩山政権も一枚岩ではない。脱原発を掲げる社民党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は「25%削減達成のために原発が切り札になるという共通認識は持っていない」と述べ、閣内対立が露呈した。
鳩山政権の目標を下回る麻生政権の目標(90年比8%減)でも達成には20年までに原発9基の新増設が必要と試算されている。政府は「計画中の原発が15基あり、順調に着工、運転開始すれば可能」とみているが、地元の根強い反対もありあと10年で9基すら新増設するのは容易ではない。
◇愛媛・伊方原発「計画通り推進」--四国電力
伊方原発3号機(愛媛県伊方町)で来年2月にプルサーマル発電を開始する予定の四国電力は「(九州電力が)開始した意義は大きい。当社も実施に向け計画通り進めたい」とコメントした。同県の山口道夫・原子力安全対策推進監は「事前了解をした県としては、玄海原発で着実に実績を積み重ねて安全に運転してほしい」と話していた。【栗田亨】
◇再処理・最終処分、先見えず
「使用済みMOX燃料の処分先も決まっていない。見切り発車だ」。佐賀県では5日、市民団体などが玄海原発周辺や県庁で抗議行動を展開した。
今回の始動は政府と電力会社が描く核燃料サイクルの輪の一つがようやく動き出したにすぎない。青森県六ケ所村に建設中の再処理工場では昨年、使用済み核燃料を一度溶かして不要な成分の高レベル放射性廃液をガラスで固める溶融炉が試験中に損傷。今年に入って、廃液約150リットルが建物内に漏れ出すなどトラブルが相次ぐ。運営する日本原燃は今年8月、14回目の完成延期を発表し、10年10月完成としたが、その後もクレーンの誤操作で廃液が漏れた。同村のMOX燃料工場(15年完成予定)も耐震性評価が長引き、今月中の着工は難しい。
壁はまだある。高レベル放射性最終廃棄物を埋める最終処分場が決まらないのだ。国内53基の軽水炉で発生する使用済み核燃料のプルトニウムも増え続け、日本の保有量(28・2トン)は単純計算で長崎型原爆約5000発分。プルサーマル導入のペースも速い。最多のフランスが35年で21基だったのに対し、日本は15年度までの7年間で16~18基を計画する急ピッチぶりだ。
核燃料サイクルの本来の狙いは、取り出したプルトニウムを高速増殖炉で再利用し、投入した以上のエネルギーを得ることだった。だが、その原型炉もんじゅ(福井県)は95年のナトリウム漏れ事故から停止したままだ。
政府と電力業界は今年7月、今世紀後半に高速増殖炉が本格導入されるまで、MOX燃料のみを使う「フルMOX」軽水炉が全原発の28%を占めるとの将来見通しを発表した。建設中の電源開発大間原発(青森県)で14年11月にも「世界初のフルMOX発電」に乗り出す予定だが、いずれも経験のない対応が待ちかまえている。
「毎日JP」より転載
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使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すのは、高速増殖炉が稼動することが前提であった。しかし、すでにこの高速増殖炉は実現不可能である。多くの国は、再処理をせずに、使用済み燃料を処分しようとしている。
28トンものプルトニウムを持ってしまった日本は、なんとしてでも、これを使わなくてはならなくなってしまったのだ。余剰プルトニウムを持たないという、アメリカとの約束があるからである。
原発を作り続けMOX燃料を燃やし続けることは、解決できない問題を先送りしつづけることでしかない。これほど危険なものと引き換えに、二酸化炭素削減をしていくというのは大きな誤りである。電気の需要が満たせないというのであれば、現在の生産のありよう、経済構造、生活全般を見直していくことの方が先ではないか。死の危険と隣り合わせの物の豊かさを選択するほど、人間は愚かではないはずだ。
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