[転送歓迎/ 訳:桜井さん)
(アメリカの独立ラジオWBAIXで2009年7月3日に放送された内容です)
イスラエルの刑務所から
シンシア・マッキニー(元アメリカ下院議員、2008年アメリカ大統領選候補者)
いまイスラエルのラムレ(Ramle)刑務所の集団房にいます。イスラエルに占領されているガザ地区へ医薬品や建築資材、クレヨンを舟で届けようとしたために、イスラエル軍につかまり、投獄されたわたしたちは、自分たちをフリーガザ21と名付けました。
わたしはスーツケースいっぱいのクレヨンを用意していました。
ガザに向かう海の上で、イスラエル兵は銃口を向けてきました。
わたしたちは進路変更をしませんでした。
イスラエル軍は、ガザにクレヨンを届けるわたしたちの舟をハイジャックし、全員を逮捕しました。
イスラエル軍が、救援物資を運ぼうとしたわたしたちを拘束して、何をするか、世界に見てほしい。
(中略)
イスラエルが2008年12月に開始した「キャスト・レッド」作戦をきくとすぐ、フリーガザ運動は3トンの医薬品を船に積んで、すでに封鎖され、壊されていたガザに向かいました。
わたしは多くの国から来た代表団の中で、アメリカ合衆国代表として乗りました。
この軍事作戦の間、アメリカから供与されたF16戦闘爆撃機が、ヘルファイア・ミサイルを逃げ場のない住民に雨あられと降らせ、このエスニック・クレンジングは総力をあげたジェノサイドと化しました。アメリカから供与された白リン弾、劣化ウラン弾、ロボット兵器、DIME爆弾、クラスター爆弾・・・ガザにいたヨルダンとノルウェーの医師は、このような新兵器による損傷の処置方法を知りませんでした。あとで治療にあたった医師たちは、ガザはまぎれもなく、イスラエルの兵器実験場に使われた、とわたしに言いました。
殺傷能力をテストし、それを高める実験データのためにガザの住民が殺されたと。
それでもアルジャジーラのアラビア語放送と(イラン)プレス・テレビの英語放送が、世界にイスラエルの卑劣な暴力を放送しました。わたしがこの生放送を見た場所はアメリカ
ではなく、レバノンでした。わたしにとって初めての(2008年12月の)フリーガザ航海が、公海上で、イスラエル(海)軍の船に、側舷を打ちつけられ、破壊され、レバノンに行かざるをえなかったためです。わたしにとって二回目となった今回の人道救助航海もまた、イスラエル軍に妨害され、この刑務所でこれを書いているなんて、奇跡のようです。
イスラエル当局は、わたしたちに、犯罪を犯したといわせようとしました。
わたしはいま、イスラエル刑務所の囚人88794番です。
なぜクレヨンを届けることが、投獄になるのでしょうか?
シオニズムは完全に最後の正当性を失いました。他の人の子どもたちのために命をかけるほど、人権を守ろうとするわたしたちに対するシオニズムの行動が、これであるとすれば。イスラエルはシオニズムの最たる表現形態です。
しかし、もしイスラエルが、ガザの子どもたちがクレヨンを受け取ることによってイスラエルの安全が脅かされる、などと言うのであれば、イスラエルは最後の正当性を失っただけでなく、「破綻国家」として宣言されなければいけません。
わたしは銃口をつきつけられ、舟ごと連行され、強制送還されそうになっています。わたしがイスラエルに連れ去られ、刑務所につながれているのは、ガザの子どもたちが絵に色をぬることを夢見たからであり、ガザにいる人びとの怪我がよくなるように、爆撃された家を建て直せるようにと願ったからです。
でも、ここにいて意外なことがわかりました。まず、いるのは黒人ばかり。夢をもっていたエチオピア人でいっぱいなのです。(注 イスラエルは1982年~1991年に「モーゼ作戦」
「ソロモン作戦」と名付けた、エチオピア人の大量移送をおこなった。
(関連動画 「故郷を捨てイスラエル移住を待つファラシャたち:エチオピア
http://www.afpbb.com/article/1581617 字幕付き)
わたしのルームメイトのひとりは妊娠中です。みんな20代です。みんな聖地へ来たと一度は思ったのです。いい暮らしになると夢をみたのです。かつて植民地にならなかった誇り高きエチオピアは、いまアメリカの手に落ち、拷問の場となり、超法規的移送の場を提供し、占領されました。
エチオピア人は自分の国を解放しなければいけません。超大国との政治交渉が人権よりも、自己決定権よりも優先されているからです。
わたしのルームメイトたちは超大国の政治がひき起こす緊急事態から自由になるために、
聖地にきました。夢を持ったこと以外、犯罪はおかしていません。かれらがイスラエルに来たのは、イスラエルが約束をまもると思ったからです。スーダンやエジプトからの旅は困難なものでした。それがどんなものだったか、わたしは想像するしかできません。それも安くない旅でした。多くの人がその一族の努力と期待を背に、自己実現をめざして、国
連難民高等弁務官事務所へ出向き、黄色い身分証明書を発行され、身の安全を保障する書類も獲得し、難民としてイスラエルにやってきたのです。
そしてイスラエルが彼らに言ったのは「イスラエルには国連はないぞ」でした。
(中略)
わたしのルームメイトの一人は今日、泣いていました。ここに半年もいる女性です。アメ
リカ人として、一緒に泣くだけではとてもたりない。アメリカの政策を変えなければ。オバマ大統領が金融エリートたちに総額12.8兆ドル(約1,265兆円-2009年4月換算) を支援したのを見たからには、彼が約束した「希望」とか「変化」、「Yes, we can」が、封鎖された世界の人びとに力強いイメージを与えたことを、はっきりさせておかなければいけません。彼らが真に信じている、一人ひとりそして国や民族の尊厳と自己実現のイメージを、彼らに与えたのです。
しかし、それは口のうまい宣伝文句でした。イスラエルが世界に示したと同じくらい、巧みなマーケット戦術を、オバマ大統領は世界に、アメリカの有権者に示したのです。わたしたちはみな騙されました。でももっと悲惨なのは、それを信じたここの若い女性たちなのです。
(中略)
パレスチナの人びとに聞いてください。ラムレ刑務所で行列をつくる黒人とアジア人の男性たちに聞いてください。わたしの房にいる女性たちに聞いてください。自分自身に、わたしはどんなことなら、する気になるのか?と聞いてください。
一緒に世界を変えましょう。わたしたちが人として必要なもの、すわなち尊厳を取り返しましょう。ラムレ刑務所にいる女性たち、イスラエルを聖地の守護者として信じた以外は何も過ちを犯していない彼女たちが安全な家庭に帰ることができるように、わたしは国連にアピールします。
わたしはアメリカ国務省に対し、イスラエル刑務所にいる国連難民高等弁務官事務所認定の難民たちの苦しみを年次人権報告書に記載するよう、アピールします。
わたしは、オバマ大統領にガザにいくように再度アピールします。ジョージ・ミッチェル中東特使をガザに派遣し、パレスチナ人が選挙で選んだハマスと交渉するようにアピールします。
このメッセージをパレスチナの解放のために闘う人びとと、ラムレ刑務所でわたしが出会った女性たちに捧げます。
2009年7月2日
シンシア・マッキニー
またの名をラムレ刑務所囚人88794番より
(原文:http://www.freegaza.org/en/home/testimonies-from-israeli-jail/989-
letter-from-an-israeli-jail-by-cynthia-mckinney)
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